営業マンにとって「時間」は最も重要な資源です。新規開拓、既存顧客フォロー、社内業務、資料作成…。やるべきことは無限にありますが、1日の時間は24時間しかありません。限られた時間の中で、いかに効率的に動き、成果につながる活動に集中できるかが、営業マンの成績を大きく左右します。
私が時間管理に失敗していた頃
不動産営業マン時代、私は典型的な「忙しいのに成果が出ない」状態に陥っていました。朝から晩まで飛び込み営業を繰り返し、上司の指示で資料を作り直し、電話をひたすらかけて…。一見すると一日中フル稼働していましたが、振り返ると数字につながる行動はわずかしかできていませんでした。
特に失敗だったのは「優先順位を考えずに、目の前のタスクをただこなしていた」ことです。例えば、午前中に上司から依頼された細かい資料修正に時間をかけすぎてしまい、アポイントの準備や顧客訪問の時間を削ってしまう。結果的に契約のチャンスを逃すということが何度もありました。
数字に直結しない行動に追われる日々
当時の私は「とにかく動けば成果が出る」と信じていました。しかし実際には、アポイントにつながらない電話や、使われない資料修正、上司への報告資料作りなどに膨大な時間を費やしていたのです。数字に直結するのは「顧客と接点を持ち、提案し、クロージングする」部分なのに、その時間を十分に取れていませんでした。
ある月、私は300件以上の飛び込み営業をしましたが、成約はゼロ。毎日クタクタになるほど働いたのに成果が出ず、上司から「もっと効率を考えろ」と叱責されたときは、自分のやり方が根本的に間違っていると痛感しました。
気づきのきっかけ
そんなとき、成果を出している先輩の行動を観察しました。驚いたのは、彼が私の半分の行動量しかしていないのに、成績は常に上位だったことです。理由を尋ねると、「大事なのは数じゃなくて時間の使い方。契約につながる時間をどれだけ確保できるかだ」と言われました。この言葉が私の営業人生を変えるきっかけになりました。
次の章では、この経験を踏まえて私が学んだ時間管理の基本ステップを紹介します。
時間管理の基本ステップ
営業マンにとって時間管理は「効率化」のためだけではありません。限られた時間を数字につながる行動に集中させるための仕組みづくりです。私が実践し、効果を実感した基本ステップを紹介します。
ステップ1:優先順位を明確にする
まず意識すべきは「どの仕事が成果に直結するか」を見極めることです。よく使われるのがアイゼンハワーマトリクスです。
- 重要かつ緊急 → 今すぐ対応
- 重要だが緊急でない → 優先的に時間を確保
- 緊急だが重要でない → 可能なら他人に任せる
- 緊急でも重要でもない → なるべく削る
私が失敗していた頃は「緊急だが重要でない」仕事に多くの時間を費やしていました。社内資料の修正や細かな電話対応などです。成果を出す先輩は、これを徹底的に減らし「重要だが緊急でない」お客様との準備や関係構築に時間を割いていました。
ステップ2:行動を「見える化」する
自分の時間の使い方を把握していない営業マンは意外と多いです。私も一日の行動を振り返ると「数字につながる仕事は2割しかしていなかった」ということに気づきました。
その解決策として、日報やスケジュールに“数字に直結した時間”を色分けする方法を導入しました。例えば「顧客とのアポイント」「提案準備」は青、それ以外は灰色といった具合です。これにより、無駄な時間を減らす意識が強まりました。
ステップ3:数字に直結する行動を優先する
不動産営業で成果を出す行動はシンプルです。
- 新規顧客との接点づくり(飛び込み・電話・紹介依頼)
- 提案の準備(資料作成・物件調査)
- 商談・クロージング
- 既存顧客のフォロー
私は一日のうち、この4つの行動に最低でも7割の時間を使うと決めました。逆に、会議や社内資料作りは時間を短くする、または午前以外に回す。これだけで成果が大きく変わったのです。
ステップ4:ルーティンを固定化する
毎日「今日は何からやろう」と考えるのは時間の無駄です。そこで私は、1日の流れをルーティン化しました。
- 朝一番 → 新規顧客への電話やアポ取り
- 午前中 → 顧客訪問や商談(集中力が高いため)
- 午後 → 提案資料作成・社内対応
- 夕方 → 既存顧客フォロー・翌日の準備
このルーティンを守ることで、迷う時間が減り、集中力を営業活動に最大限活かせるようになりました。
次の章では、私が現場で実際に試し、効果を感じた具体的な時間管理テクニックと実体験を詳しく紹介していきます。
実践的な時間管理テクニック
ここからは、私が実際に試し、成果につながった具体的な時間管理の工夫を紹介します。単なる理論ではなく、不動産営業マンとしての現場での実体験に基づくものです。
午前中は「攻め」の時間にする
人間の集中力は朝にピークを迎えます。私は午前中を徹底的に「新規開拓」や「アポイント」に充てました。以前は午前中に社内作業をしていましたが、これを顧客訪問や商談準備に変えることで、成約率が大幅に改善しました。
例えば、午前10時に訪問した顧客は集中して話を聞いてくれることが多く、商談の質が高まりました。逆に午後に回すと相手も疲れており、結果が出にくかったのです。
午後は「守り」の時間にする
午後はどうしても集中力が落ちる時間帯です。そこで私は午後を「資料作成」や「社内報告」「既存顧客フォロー」に使うことにしました。大切なのは「その時間帯に最適な作業」をあてはめることです。無理に午後に新規訪問を詰め込むよりも、効率的でした。
タイムブロッキングを徹底する
一日のスケジュールを時間ごとにブロックして管理する方法です。私はGoogleカレンダーを活用し、色分けして「営業活動」「資料作成」「移動時間」を固定化しました。これにより「時間に流される」のではなく「時間をコントロールする」感覚を得られました。
移動時間を学習や準備に活用する
不動産営業では移動が多くなります。以前は移動中にただ音楽を聴いて過ごしていましたが、途中から営業トークの録音を聞き返したり、商談前に顧客情報を整理する時間に変えました。結果、移動時間も立派な「成果につながる時間」になりました。
「締め切り」を自分で設定する
資料作成や報告業務は、放っておくと延々と時間を取られます。私は「この資料は45分以内で仕上げる」と決め、タイマーを使って強制的に集中しました。制限時間を設けることで、余計な手直しを避けられ、他の重要業務に時間を使えるようになりました。
実体験:時間管理を変えて成績が激変した話
ある月、私は「午前=新規営業、午後=資料とフォロー」というルールを徹底しました。その結果、顧客との接点数が2倍に増え、契約数も前月比で150%に伸びました。逆に資料作成の時間は減ったものの、効率化によって質は落ちず、むしろお客様から「説明が分かりやすい」と評価されました。
この経験から、時間管理は「忙しさを減らす」ためではなく成果を最大化するための戦略だと実感しました。
次の章では、時間管理を長期的に習慣化し、営業マンの武器にしていく方法をまとめます。
時間管理を習慣化するために
時間管理は一度方法を学んだだけでは成果につながりません。大切なのは習慣化です。毎日のルーティンに組み込むことで、意識しなくても自然と効率的な行動ができるようになります。
チェックリストを活用する
私は毎朝「今日の時間配分チェックリスト」を確認する習慣をつけました。
- 午前中に新規営業を入れているか?
- 午後はフォローと資料作成に充てているか?
- 重要だが緊急でないタスクを優先しているか?
- 今日の行動のうち、7割以上は数字に直結するものか?
このチェックリストを使うことで、日々の行動がブレにくくなり、安定して成果が出るようになりました。
週単位で振り返る
一日単位では見えない課題も、週単位で振り返ると改善点が見えてきます。私は毎週金曜日の夜に「今週どれだけ数字につながる時間を使えたか」を振り返り、翌週の予定を調整しました。この習慣のおかげで、常に改善を繰り返すことができました。
時間管理をチームで共有する
個人で時間管理を徹底するのも大切ですが、チーム全体で実践すると効果はさらに大きくなります。私は同僚と「午前中は全員外出して新規営業」というルールを作り、社内の雰囲気を変えました。その結果、チーム全体の契約数が増え、部署の評価も上がりました。
実体験からの学び
時間管理を取り入れる前の私は、毎日が「作業に追われる日々」でした。しかし時間の使い方を見直し、「成果につながる行動」を優先するようになってから、契約数は安定し、精神的な余裕も生まれました。単なる効率化ではなく、自分の仕事に自信が持てるようになったのです。
まとめ:時間管理は営業マン最大の武器
営業の世界では、誰もが同じ24時間を持っています。その中で成果を分けるのは、時間の使い方です。
- 優先順位を見極める
- 数字につながる行動に時間を集中させる
- ルーティンを固定化して習慣にする
- 定期的に振り返って改善する
これらを徹底すれば、同じ時間を使っても成果は大きく変わります。時間管理は営業マンにとっての最大の武器です。今日から少しずつでも実践してみてください。
コメント